受験者の方へ 在校生・保護者の方へ 卒業生の方へ アクセス

NEWS & INFORMATION

HOME>最新のお知らせ>12月9日 第7回グローバル・リーダー学

12月9日 第7回グローバル・リーダー学

2017.12.09
①環境問題
名古屋大学大学院環境学研究科教授 高村 ゆかり 先生
気候変動に関する国際レジーム:パリ協定とその課題
 パワーポイントによって、IPCCの報告書から温暖化のメカニズムや気候変動による影響、排出削減策について、京都議定書のメカニズムからパリ協定の特徴について(2℃目標・5年サイクル目標など)、各国の再エネ目標(先進国と新興国)~社会の動きについての講義を受けました。その後、「気候変動問題の解決には、どのようなルールが必要か」「今のルールをどう改善すればいいか」について3グループで討議し、意見発表を行いました。
①方針について国民に周知するためメディア等を利用する。再エネを優先して使ってもらうために補助金を出す。
②個人単位でCO2削減に貢献できたかが測れるようなものをつくる。企業についてRE100等への参加を大企業だけでなく中小企業も強制的にさせる。自治体についてUnder2MOU等への参加を呼び掛ける。排ガス対策として燃料電池車を普及させるために電池、スタンド、価格の改善をする。
③各国の目標を早く達成できたらボーナスをあたえる。達成可能な最低限度の目標を決める。利益より問題意識を持つ。各国がきちんと問題を認識する。
というような意見がでました。
 生徒の感想としては、「これまでの講義の中でも温暖化について話題になることは何度かあったが、またさらに新しい多くのことを知ることができた。」「地球温暖化はどうもしようがないというイメージがあったが、再生エネルギーの技術の発展やそれに伴う中国のCO2削減への意欲が見られるということが分かり希望がもてる内容だった。」などがあった。
 全体を通して、講義は盛りだくさんの内容でしたが、生徒たちはどれも興味深く、熱心に聴くことができ、討議になると活発な意見交換をする姿が見られ、発表でも多くの提案を出すことができました。
②教育・人権・ボランティア
前名古屋韓国学校校長・愛知淑徳大学非常勤講師 ユン テジン 先生
在日コリアンとの出会い

 日本生まれ・日本育ち(両親は終戦以前に日本に移住していた)で大学2年生のときに韓国に行った。そのときのパスポートで韓国名があることに気づいたという自己紹介から始まり、およそ100分の講義がありました。
内容としては、韓国と日本の歴史を知るということで、<終戦まで><終戦後><現在の課題>にわけて話されました。また、在日3世に関するDVDの視聴もしました。
その後、質疑応答・グループ討論が行なわれました。
生徒からは、「反ヘイト法への対抗は?」「阻止したのは韓国を支援する日本人。ヘイトスピーチに反対する団体が反対デモを行っている。ヘイトスピーチには公園を貸さないようになってきている。」「在日コリアンでも祖国に行くと血が騒ぐ?」「家庭環境・教育方針も影響する。韓国に関して積極的な家庭と、そうでない家庭がある。ある程度の年齢になると、自分のアイデンティティーの問題にもなる。在日コリアンで日本人という感覚が強い人は、日韓戦でも日本を応援する人が多い。慰安婦像に反対し、日韓合意に賛成している人も多い。世代間によっても違う。」などの応答がありました。
③文化 ⑥グローバル・ビジネス
讀賣テレビ経営企画室長 小石川 伸哉 さん
経営企画室メディア企画部 吉積 伸介 さん
テレビ局の編成とは? 地上波テレビの未来

 講師先生から、メディアの役割、民間放送のビジネスモデルについて全般的な講義があり、編成の業務範囲(番組企画の検討→番組制作決定→制作→放送)について専門的にお話しいただきました。その後、グループ討論(19時~23時の時間帯で終了させる番組を決めて、代わりにどんな番組を編成したらいいかを考える)を行い、8グループが順番に発表を行ないました。生徒の感想としては、様々な視点でテレビのことがわかり貴重な体験ができた。普段見ている番組の裏側で、制作する側がこんなにも苦労していると知った。テレビ番組の裏側や仕組みを知ることができる貴重な機会だった。皆の発表を聞いて、同じところや違うところなどそれぞれの個性があって楽しかった等がありました。
 講師先生のお話は、一般視聴者である生徒にとってはほとんどが新鮮なもので、興味深く耳を傾けていました。身近な話題であったためか話し合いは非常に活発に行われ、ポスター制作はやや時間が不足したようでしたが、各グループの発表は個性的で、視聴者が何をしている時間帯か、どういう年齢層をターゲットにするか、人気のある出演者に何をさせるかなど、実際の番組制作と同じような視点で発表したグループもあり、講師から好評を得ていました。
④法・歴史研究
京都女子大学教授 本田 毅彦 先生
歴史上、相互に異なる文化の接触・交流は、どのような変化をもたらしてきたか?―英領インド帝国を素材として考える

 まず、100分の講義で「第1章エドワード・サイードの抱いた使命感と希望」「第2章 人々は、英領インド帝国でどのような歌を愛唱していたのか」について聴きました。その後、生徒が質問シートの作成をし、その質問への本田先生の回答が行われました。例えば、Q.今言われているイスラエルのエルサレム首都問題について、イギリスの対応は? Q.植民地支配の専制主義のアジア・アフリカがどう思っていたのか? Q.インドの文化がイギリスやヨーロッパへ影響を与えたことはありますか?等多数出されました。その後、5人1組になりテーマについて意見交流をしました。

①「歴史上、2つ以上の相互に異なる文化の接触・交流はどのような変化をもたらしてきたか?」
②「将来、人類社会には『グローバルな文化』が誕生することになるのか?そうだとすれば、グローバルな文化と文化の多様なあり方を両立させることは可能か?」
① については、仏教や儒教の伝来によって日本の社会に大きな変化、影響があったのではないか。
② については、情報社会のなかで互いに関係しあって共振現象が起こり境目はどんどん無くなっていくのはないか、という意見等が出されました。
 生徒の感想としては、「今年から世界史を学ぶようになり特にヨーロッパ史は興味がある。最近はルネサンスの時期などを学んでおり百年戦争のイギリス・フランスの戦いはとても興味深かった。」「パレスチナという難民問題がまず頭に浮かぶ。いろいろ知れて面白かった。」「インド、イギリスについては学校の歴史の授業で習うような内容の浅いものについてしか知りませんでしたが今日“文化”という面からインド、イギリス2国の関係について知ることができました。1つの観点から物事を見るとこんなにも多くの話が出てくると思いました。」という内容でした。
⑤医療問題
日本医科大学多摩永山病院救命救急センター 講師 久野 将宗 先生
日本体育大学保健医療学部 助教 鈴木 健介 先生
世界の救急災害医療

 まず鈴木先生から自己紹介、救命救急師の仕事の紹介等があり、世界の救急災害医療についての講義があり、Q1.世界の災害は増えているか・減っているか?(グループディスカッション) Q2.人道支援とは何か?NGOとは何か?(グループディスカッション+発表)の課題が出ました。生徒たちは、初めは「NGO=非政府組織」という「教科書通りの答」を出し合っていましたが、時間が進むにつれ、「非政府」とはどういうことかなど話し合っていました。
また、「Code of contact」、「スフィアプロジェクト」についての説明の中で、「Do no harm(自分たちの行動が被災者を傷つけていないか?)」をキーワードにしながら災害ボランティア活動を考えていかなければならない。との説明を受けました。
次にQ3.自分が海外災害ボランティアになったと想定し、これから台風被害のあったフィリピンにボランティアに行くとき、どのように・どのような情報収集をするか?(スマホ等使用可。グループディスカッション+発表)の課題について、生徒たちは、最初はウィキペディア等のページを検索していましたが、時間がたつにつれ、外務省のページで現地の治安について調べたり、宗教について調べたりしていました。
最後に、Q4.医療ボランティアとして現地に入ってまず最初に何をすると思うか?問いについては、迅速ニーズアセスメント(必要な情報を効果的に収集・分析するプロセス)を行い、それをもとに支援計画の作成、本部への支援計画の提出を行う。迅速ニーズアセスメントのために避難所に入ったと想定してどうインタビューするかのロールプレイ(2回)の後、2つのうちどちらの避難所を優先してどんな支援をするかをグループで相談し、班同士で意見交換を行いました。
生徒たちは、質問の仕方や内容によって得られる情報が異なり、それによって必要と考える支援内容に大きな差が出ることを実感した様子で、迅速ニーズアセスメントの難しさを実感したようでした。
 久野先生からは、海外医療支援活動(2010年 パキスタンでの活動等)の紹介、ビデオの視聴をし、世界には、救急車ですら当たり前でなく、それをボランティアの方が行っている国もあるという現状を知り、驚いた様子でした。