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SSH沖縄研修を実施しました

2023.10.23
○日 程:9月29日(金)~10月3日(水)4泊5日
○参加者:2年生8名 1年生3名
○研修場所について
1 読谷村漁港(定置網漁体験)
 早朝より定置網漁の船に乗船し、実際に漁を体験しました。定置網漁は主にイワシやアジなどの回遊魚をとる漁法です。日によってはウミガメやジンベイザメが入っていることもあるそうです。この日の漁獲はかなり少なかったようで、自然のものについては、いつも同じ状態にはならないことを学びました。また漁の後は、船上にて捕れた魚をさばいていただき新鮮なお刺身を頂き、市場見学もさせていただきました。
【参加生徒の声】
・説明段階ではよくわからなかったけど、実際に船に乗って体験することで網の大きさや漁の方法を理解することができた。とても貴重な体験ができた
・実際の漁業の姿を目の前で見ることができ、生きた魚を間近で見て、匂いも感じられ、直接行ったからこその体験だったと思います。
・初めての体験でしたが、実際に魚をしめる現場を見ることができたので良かったです。

2 マングローブ調査
 屋我地島に移動し、ガイドの方の案内でマングローブ調査を実施しました。マングローブは、生みと川の間にある植物で、多くの魚介類が生息できる貴重な環境です。湿地を歩きながら、そこに生息する多様な生物を観察しました。学校で飼っている種類と同じカニを発見することができ、とても嬉しかったです。貴重なマングローブ林に生息する外来種が生態系に与える影響や、流れ着いたゴミ問題についても教えていただき、新ためて環境保全について考える体験となりました。
【参加生徒の声】
・マングローブについてあまり知らなかったけど話を聞く中でマングローブだけでなく、それらを取り巻く環境や問題点、変わった生物などを学ぶことができました。
・ガイドの方の知識が豊富で、マングローブならではの植物や干潟の生き物を実際に観察し、気候の特徴も知ることができた。
・植物にとって厳しい環境をあえて選び生きているということが、多様な生き方に感じて、とても面白いと思いました。

3 読谷村周辺海岸調査
 読谷村のホテル周辺の海岸においてシュノーケリングにて海洋生物の観察を行いました。想像していた以上にはるかに美しく、2時間ほどの時間のなかできれいな枝サンゴやアオヒトデなどが確認でき、実際に触って観察することができました。研修期間中、何度か海中調査を行いましたが、天候にも恵まれ透明度も高く沖縄の海の色とりどりで多様な種類の生物を観察することができました。
【参加生徒の声】
・三重県にはない環境である沖縄の海を自分の目で直接見ることができ、本に載っている生物が多くいたため、事前知識を活かして楽しむことができました。
・遠浅の海だったので安心して広い範囲をシュノーケリングでき、たくさんの生き物に会えました。サンゴや魚の綺麗さに感動しました。
・すごく疲れたし不安もあったけど、自分で泳いで自然の生きた生物を見るという体験が、とても貴重でした。

4 玉泉洞
 地質調査のために、おきなわワールド内にある玉泉洞(ぎょくせんどう)を訪問しました。約30万年をかけて作り上げた全長約5kmの鍾乳洞のうち、公開されている約890mを間近で見ることができました。年中21度前後でひんやりとした気持ちのいい暗い空間でしたが、天井から水滴が落ちてくるくらい湿度が高かったです。鍾乳洞が炭酸カルシウムでできていることや、テナガエビや魚が生息できることに驚き、自然の不思議を感じる場所でした。
【参加生徒の声】
・整備された歩道で涼しくてすごしやすく、なぜそうなるかなどのメカニズムやその場にいる生き物についての説明が各所に案内されていて、とても勉強になりました。
・歩いているなかで疑問に思ったことをメモしていましたが、思ったよりも多くの疑問があり、たくさんのことを考えることができました。
・洞窟の湿度の高さや、水滴が垂れて少しずつ固まっていく過程、生き物が住んでいることが面白かったです。思ったより水の流れが激しかったり、地下水がしみ出していることがわかって驚きました。

5 ナゴパイナップルパーク
 沖縄のパイナップルやその歴史だけでなく、フタバガキ科やフトモモ科の亜熱帯植物を観察・調査しました。園内はジャングルのように南国の植物が栽培されており、遊歩道だけでなく、空中の葉や花、果実などの特徴を興味深く観察することができました。
【参加生徒の声】
・亜熱帯ならではの果物の生育の様子を観察できて楽しかった。
・パイナップル以外の亜熱帯の様々な植物を、間近で見ることができ、たくさんのことを知ることができました。

6 沖縄美ら海水族館
 一般財団法人沖縄美ら海財団附属動物病院に勤務するお二人から、ジンベエザメやイルカの飼育管理や治療方法について講義を受けました。水槽内での血液採取の方法やイルカの人工尾びれの開発など、興味深い話を聞くことができました。水族館では野生の生物のデータも取り、人間の知識や取得したデータをを水族館の生物にいかされていました。その後は館内を自由に観覧し、それぞれに興味ある展示について、撮影したりメモをとったりしました。
【参加生徒の声】
・人間に対する医療の知識から動物の医療へ活用していることを聞いて驚きました。ジンベエザメと人間の体は違うため検査できないこともあるが、工夫をしたり、新たに開発してできることを増やしていることに感動しました。
・人を診る看護師から動物看護師に転職されたことにとても驚きました。私は人の医療に興味を持っているのですが、まだまだ知られざる生態や未開拓の治療法を模索しながら、動物に向き合うことにもとても魅力を感じました。ジンベエザメの腸の構造、赤血球に核があることなど、とても面白い知識を得ることができ、ジンベエザメの生態への興味も高まりました。
・私は「どのように探究を進めたらいいのか」ということを質問したのですが、そのときに頂いたアドバイスがとても印象的でした。まずは自分で確かめること、そして周りの人と疑問も共有すること、そうする中で、新たな疑問や発見に繋がるということです。また、失敗例を共有することが成果を共有することと同じくらい大切だということもとても参考になりました。論文は小説などと違って正しさが最重要だと思っていましたが、自分なりの説を提唱して皆で考えてみるというのは、小説に近い部分もあるかと思いました。探究だけでなく普段のあらゆる授業でもいかせることだと思うので、これから自分の疑問を共有し学んでいきたいと思います。

7 琉球大学亜熱帯生物圏研究センター瀬底実験所
 亜熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設は1971年に設立され、その頃は本島との橋がなくボートで行き来しながら研究をしていたそうです。現在は研究施設や宿泊施設が整備され、国内外の研修者が訪れ、様々な研究の拠点となっています。高橋教授の案内で、大型水槽棟や飼育場、ラボを見学し顕微鏡でサンゴの様子を確認した後、サンゴ礁生物機能学分野の講義を受講しました。「研究」とは、新しい知識を得るために行う活動で、その中で自分の好奇心に従って研究を進める姿はSSHに似たものを感じました。
【参加生徒の声】
・大学で研究されているお話を聞けてとても楽しかったです。沖縄に着いてから4日間見続けてきたサンゴについての知らないことを知れてよかったです。研究室や顕微鏡の使い方、また実際に顕微鏡を見せてもらうなど貴重な体験をさせていただきました。
・基礎研究と応用研究の話を受けて、自分自身の探究について考えることが多くありました。探究を始めてから「研究は世の中の役に立つことでないといけないのではないか。私は自分の疑問に思ったことを調べたいだけなのに・・・」と何度も思ったので、今回の話を聞いて自分を肯定してもらった気持ちになりました。
・高校ではとても使えないような機器や設備に触れて、もともと興味があった研究分野にさらに興味が湧きました。社会で役立つ応用研究は基礎研究があってこそのものであることも知ることができ、さらに美しいサンゴを守っていくためにこれからを生きる私たちが温暖化などの気候変動対策をしっかり考えていく必要があるのだと強く感じさせられました。研究において大切なことも教えていただいたので、これからの研究の授業で活かしていきたいと思います。

○今回の研修について【参加生徒の声】
・今回の研修では「科学」に向かうべき姿勢を学べたと思います。主に2つあり、1つめは知識を持つほど疑問が増えるということです。自分がもし生物選択で様々な生物についての知識を持っていればもっとレベルの高い質問ができたと思います。2つめは間違いこそが大事な糧になるということです。間違えてもいいから、自分の意思を持って人の話を聞こうと思います。
・シュノーケリングでサンゴやたくさんの熱帯魚を自分の目で見て、今この綺麗な生き物が自分たち人間による地球温暖化の影響で壊れかけているのかと思って、これらの生き物のためにも少しでも地球を改善の方向に持っていかなければならないと強く思った。美しいサンゴ礁は人間をたくさん惹きつけて観光も盛んだけど、それによって生き物を苦しめていてはいけなくて、エコツーリズムを守る意義を感じた。
・自分が将来どういう生き方をしたいか、を考えるきっかけになりました。水族館の獣医さん、看護師さん、飼育員さんにお話を伺って、一番心に残っていることは全員が志した向上心を持って仕事に向き合っている点です。まだまだわからないことが多い海洋動物の医療ですが、失敗や周りからの嘲笑を恐れず、チャレンジを続ける姿がとてもかっこいいと思いました。私は人の目を気にしすぎる節があるので、「間違いは成功の元、もし間違えて周りに何か言われても謝ればいい」ということを心に刻もうと思います。私が年を重ねて50代、60代になっても植田さん達のように失敗を恐れず、新しい挑戦を続けていきたいです。
・初めは探究で海藻を扱いたいという理由で研修に参加しようと思いましたが、その他の生き物も海や水族館などいろいろな場所で近くで見ることができて、初めての経験がたくさんありました。しおりの資料作成を通しても、自分が興味があって担当した分野について、今までよりも詳しく知ることができました。また自分で調べたり実際に自然界での様子を見るだけでなく、水族館や研究センターでその分野を専門とする方々から話を聞くことで、初めて知ることや疑問に思ったことの答えを得ることができました。その中の質疑応答で、自分が思いつかないような疑問に気づいたり、それらに対する答えから新しい知識を得ることができ、とても有意義な研修になったと感じています。